実践ガイド

見積依頼の確認漏れを減らす。AIで「分かること・聞くこと」を整理する手順

メールや電話メモから、依頼内容と未確認の条件を分ける実務ガイドです。工務店・修理業・受託サービスなどで使える指示文と確認表を紹介します。

見積依頼の確認漏れを減らす。AIで「分かること・聞くこと」を整理する手順

見積依頼の整理は「未確認」を見つけるために使う

「来月の開店に間に合わせたい」「前と同じくらいの大きさで」。依頼のメールを読んでも、すぐに見積もれるとは限りません。必要な条件を拾い、前のやり取りを探し、足りない情報を聞き直す。この下準備をAIで試す方法を紹介します。

見積もる前の確認を4つに分ける
  1. 元の依頼

    メールや電話メモを用意

  2. AIで整理

    記載・希望・未確認を分ける

  3. 人が照合

    原文と現場の条件を確認

  4. 質問・返信

    不足している条件を聞く

本記事は編集部が作成した実務ガイドです。以下の依頼文・整理表・返信文は架空の練習例で、実在企業の取材や導入成果を示すものではありません。

どこまで任せるかを、先に決めておく

最初から見積書全体を作らせると、AIが補った条件を見分ける作業が増えます。まずは「依頼文に書いてあることを抜き出す」「足りない条件を挙げる」という範囲に絞りましょう。

AIに頼む作業と、担当者が判断する作業

表は横にスクロールできます

作業AIに頼むこと担当者が確認すること
条件の整理数量・寸法・希望日を抜き出す希望や概数を確定値に変えていないか
不足情報の確認記載のない項目を未確認と示すその仕事の見積もりに本当に必要な項目か
質問の下書き依頼主への質問を短くまとめる過去に回答済みのことを重ねて聞いていないか
価格・工法・日程整理済みの条件を材料として渡す単価、現場条件、対応可否を社内で判断する

最初は、実際の顧客情報を使わずに試す

練習には、下の架空の依頼文を使えます。実際の依頼で使う段階では、社内で使用を認めたサービスと入力ルールを確認してください。顧客名や住所を伏せても、図面や記載内容から相手が分かる場合があります。伏せ字にしただけで入力してよいとは判断しないでください。

依頼文を、確認できる表に変える

例として、店舗の棚を増設したいという相談を整理します。原文を手元に残したまま、出てきた表と一行ずつ比べます。

依頼を整理する指示文
あなたは見積依頼を整理する担当者です。次の依頼文に書かれた情報だけを使ってください。

【出力】
「項目」「原文の記載」「区分」「確認すること」の4列の表を作ってください。区分は「明記された依頼内容」「希望・概数」「未確認」のいずれかです。

【確認する項目】
作業内容、数量、幅・高さ・奥行き、色・材質、設置場所、希望日、予算、現場確認の要否。

【条件】
・原文にない情報を埋めず、「未確認」と書く。
・「だいたい」「ほど」などの表現を残す。
・相対的な日付を、具体的な日付へ勝手に変換しない。
・金額、工法、所要日数、対応可能日を推測しない。
・表の後に、担当者が依頼主へ聞く質問を最大5つ挙げる。

【依頼文】
店舗の棚を増やしたいです。幅はだいたい180センチ、白い棚を2台ほど考えています。来月の開店前には設置したいです。壁に固定できるかも含めて、一度相談できますか。

整理表の例:空欄を勝手に埋めない

編集部が作成した整理例。AIの実際の出力は変わります

表は横にスクロールできます

項目原文の記載区分確認すること
作業内容店舗の棚を増やしたい明記された依頼内容用途や収納する物を確認
台数2台ほど希望・概数2台で確定してよいか確認
幅だいたい180センチ希望・概数1台あたりの幅か確認
高さ・奥行き記載なし未確認必要な寸法を確認
色白い棚希望・概数白でよいか、仕上げの希望を確認
材質記載なし未確認希望する材質を確認
希望日来月の開店前希望・概数開店日と設置を終えたい日を確認
設置場所店舗。詳しい位置の記載なし未確認棚を置く位置と周囲の条件を確認
壁への固定固定できるか相談したい明記された依頼内容固定の可否は未確認。確認方法を担当者が判断
現場確認の要否記載なし未確認必要性と確認方法を担当者が判断
予算記載なし未確認予算の希望を確認。仮の金額で計算しない

この依頼では「幅180センチ」が1台あたりなのか、2台を合わせた幅なのかも分かりません。数字を抜き出すだけでなく、数字が何を指すかまで質問に含めると、見積もりの前提をそろえやすくなります。

もっともらしい補足を見つけて直す

表の項目が埋まっていても、元の依頼と一致しているとは限りません。とくに、寸法・材質・予算・日付は原文と照らし合わせます。

原文にない条件を見つけるチェック例

表は横にスクロールできます

AIの整理に含まれた文問題点残す表現
幅180cmの棚を2台設置概数と希望を確定扱いしている幅はだいたい180cm、台数は2台ほどの希望
白い木製の棚木製とは書かれていない色は白の希望。材質は未確認
来月1日までに納品開店日も設置期限も特定できない開店日と希望する設置完了日を確認
壁に固定する工事を実施固定できるか相談したい段階固定の可否と確認方法を担当者が判断

担当者の確認は、この順番で

  1. 原文と照合する

    数値・固有名詞・希望条件を原文と一つずつ比べます。言い換えで意味が変わった箇所を戻してください。

  2. 過去の情報を確認する

    前のメールや電話メモに回答がないかを探します。同じ質問を繰り返さないようにし、別の案件の条件を混ぜないことも確認します。

  3. 見積もりに必要な質問を選ぶ

    今回なら開店日、寸法の意味、設置場所の確認方法を先に聞く、といった順序を担当者が決めます。AIが挙げた質問をすべて送る必要はありません。

質問をまとめて、返信文の下書きを作る

表を確認した後に、聞くことを絞ってから返信文を作ります。返信の目的は、未確認の条件をそろえることです。受注できるかどうかが決まる前に、納期や料金を約束する文を入れないようにします。

この依頼で先に聞きたいこと

  • 開店予定日と、設置を終えたい具体的な日付
  • 幅180センチは1台あたりか。高さ・奥行きの希望はあるか
  • 台数は2台で進めてよいか。棚に載せる物は何か
  • 設置場所の条件をどう確認できるか。社内で使える確認方法は何か
確認質問を返信文に整える指示文
次の確認事項を、依頼主への短い返信文にしてください。

【確認事項】
・開店予定日と設置を終えたい日
・幅180センチは1台あたりか、高さと奥行きの希望
・台数は2台でよいか、棚に載せる物

【条件】
・相談へのお礼から始める。
・質問は箇条書きにする。
・料金、対応可否、納期、現場への訪問を約束しない。
・壁への固定は、設置場所の条件を確認してから判断する旨を添える。
・記載のない連絡先や会社情報を追加しない。

この文面もそのまま送らず、担当者の対応方針に合わせて修正してください。訪問や採寸の案内を加える場合は、費用や対応範囲を社内で確認してから書きます。

続けるかどうかは、確認と修正も含めて判断する

最初は、似た種類の依頼を数件選び、整理にかかった時間と修正した内容を残します。原文を入力して表が出るまでの速さだけで判断しないことが大切です。

試した後に残す記録

表は横にスクロールできます

記録する項目書き方の例
作業にかかった時間入力の準備/表の作成/原文との照合/返信の修正を分ける
修正した箇所台数を確定扱いした、書かれていない材質を補った、など
確認漏れ送信前に気づいた不足と、返信後に追加で聞いた不足を残す
次回変えること「概数を残す」という指示を強める、確認する項目を減らす、など
この記事の訂正・情報提供 →

SHARE YOUR EXPERIENCE

全国でAIを活用している
事業者様を募集しています

日々の仕事で試したこと、使ってみて困ったこと。小さな取り組みからお聞かせください。企業・個人事業主の皆さまから、取材へのご応募をお待ちしています。

AI活用の取り組みを知らせる ご応募後に編集部からご連絡します。取材・掲載をお約束するものではありません。

情報を探す

AIを仕事で使う、最初の一歩相談先・支援会社の選び方AI研修・社内定着都道府県・地域から探す運営会社 inovie株式会社お問い合わせ・掲載のご相談